A. 「印刷前にカンプ(確認用のデータ)を出してください」と、こちらから必ず伝えてください。お願いしないと、最終確認をされないまま、エラーで印刷されてしまうことがあります。
チラシやパンフレット、ポスターは、一度刷ってしまうと、後から直すことができません。少部数や納期に余裕があれば刷り直しで対応できる場合もありますが、折り込みチラシのような大部数や、ページ数の多いパンフレット、イベント当日に必要なポスターなどは、金額も大きく、おいそれとやり直しがきかない世界です。
だからこそ、印刷に進む前の「最終確認」が決定的に重要になります。以下、実際に印刷のトラブルを経験した立場から、押さえておきたい点をまとめます。
実際に、こんなことが起きます
まず、どんなトラブルが起こり得るのかを知っておいてください。私がこれまでに経験したものだけでも、こういうことがありました。
印刷物から、画像が抜けていた。
データ上は正常に見えていたのに、刷り上がったものを見たら、入っているはずの写真が消えていた、というケースです。デザインデータでは画像を「リンク」で扱うことが多く、その受け渡しや工程の途中で、画像が読み込まれないまま印刷に進んでしまうことがあります。
写真の向きが変わっていた。
手元では正しく表示されていた写真が、印刷結果では回転していた、ということも起こり得ます。
ポスターの色味が、思っていたものと全く違った。
特に大判のポスターでは、印刷機や用紙、外注先によって、色の出方が変わります。画面で見ていた色と、刷り上がりの色がとんでもない色であきらかにおかしい、ということが起こります。
こうしたトラブルは、データを作る側が気をつけていても、完全には防ぎきれません。
印刷会社側の工程や、外注に回った先で起きることもあるからです。だからこそ、最後に人の目で確認する工程を挟む必要があります。
1. 印刷前のカンプ確認を、必ず入れる
大部数・高額・納期がずらせない印刷では、カンプ確認は必須とお考えください。
印刷会社に、印刷前の確認用PDFやカンプデータを出してもらい、内容・画像が抜けていないか・写真の向き・大きな表示崩れなどを確認します。そして、こちらが承認してから印刷に進む——この流れを作っておくことが、いちばん確実な事故防止策です。
上に書いた「画像が抜ける」「向きが変わる」といったトラブルは、カンプを一度見ていれば、印刷前に気づけたものです。逆に言えば、カンプを見ずに進めると、刷り上がるまで誰も気づけません。
いちばん大事なこと:カンプはお願いしないと出してもらえません。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
印刷会社によっては、「印刷前のエラーチェックはしません」というところが、実際にあります。
普通に考えれば、「そんなことがあるの? それで仕事と言えるの?」と思われるかもしれません。ですが、これが事実です。データを受け取ったら、そのまま印刷工程へ流す。中身が正しいかどうかは、入稿した側の責任、という考え方の会社もあります。
そして重要なのは、「カンプデータを出してください」と、こちらから言わなければ、出てこないということです。黙っていれば、誰も確認しないまま印刷されます。刷り上がって初めて、画像が抜けていたことに気づく——そういうことが、現実に起こります。
ですから、大部数・高額・納期が絶対ずらせない印刷では、必ずこちらから、はっきり伝えてください。
「印刷前に、確認用のカンプデータ(またはPDF)を出してください。こちらが確認・承認してから、印刷に進めてください」
このひと言があるかないかで、結果が変わります。遠慮する必要はまったくありません。取り返しのつかない金額の印刷や、刷りなおしていては当日に間に合わないかもしれない印刷を、確認なしで進めるほうが、お互いにとってリスクです。
補足:PDFで入稿すると、事故は起こりにくくなります
もうひとつ、事故を減らす方法として、PDFで入稿するというやり方があります。
デザインデータ(Illustratorなど)は、画像を「リンク」で外部から読み込んでいたり、フォントの情報が環境によって変わったりするため、渡した先の環境の違いで、表示が変わってしまうことがあります。PDFは、その中身を1つのファイルに固めた状態なので、環境の違いによる事故が起こりにくくなります。
ただし、これも万能ではありません。印刷会社によっては、PDFを「参考資料」として扱い、実際の出力は元のデザインデータで行う、というところもあります。その場合、せっかくPDFを渡しても、事故を防ぐ効果は薄くなります。
なので、「PDFで入稿する」より、「カンプを出してもらって確認する」ほうが確実です。PDF入稿は事故を減らすための手段のひとつ、カンプ確認は最後の砦、という位置づけで考えてください。両方できるのが理想です。
2. 色が大事な案件は、色校正を検討する
ポスターなど、色の再現が重要な印刷物では、カンプ確認に加えて、色校正や簡易校正ができるかを確認してください。
色は、画面(光)と印刷(インク)で、そもそも出方が違います。さらに、印刷機・用紙・外注先によっても変わります。「思っていた色と違う」を防ぐには、事前に実際の出力で確認するのが確実です。
大判ポスターや、箔押しなどの特殊加工がある場合は、通常のチラシとは確認の工程が変わることもあります。「どこまで事前に確認できるか」を、印刷会社に聞いておいてください。
3. 納期に、必ず余裕を持つ
カンプ確認や色校正を入れるには、その分の日数が必要です。ここが抜けると、「確認したいが、間に合わないので、そのまま刷ってください」という、いちばん危ない進行になってしまいます。
短納期は、事故のリスクを確実に上げます。折り込みの日程や配布日から逆算して、確認する時間を含めたスケジュールを組んでください。「何日前までに最終データを入稿すれば安全か」を、印刷会社に確認しておくと安心です。
4. 印刷会社に、事前に確認しておくとよいこと
印刷会社によって、入稿のルールも、確認の体制も、けっこう違います。初めて使う印刷会社や、大きな案件の前には、次のような点を確認しておくと安全です。
入稿規定や入稿ガイドの資料はあるか。
標準のルールが明文化されているか。
PDFの扱いはどうか。
PDFのみで入稿できるか。そのPDFは「出力の基準」として扱われるのか、それとも参考資料の扱いなのか。ここは会社によって考え方が違うことがあり、認識のズレが事故につながります。
印刷前のカンプ確認ができるか。
確認用PDFや簡易校正を出してもらえるか。大部数・高額案件で、カンプ確認を必須にできるか。
外注や別の工程に回る場合の確認体制はどうか。
ページ物や特殊加工は、別の工程・別の会社に回ることがあります。その場合、どの段階で最終確認ができるか。
色について。
色校正ができるか。印刷機・用紙・外注先によって色味が変わる場合、事前に説明してもらえるか。
5. 確認したことは、文面で残す
打ち合わせで口頭で確認しただけだと、「言った・言わない」になりがちです。担当者が変わったり、別の工程に回ったりすると、なおさらです。
大事な取り決めは、必ずメールなど文面で残してください。「本日確認した内容として、〇〇という認識でおります。相違があればご指摘ください」と一度送っておくだけで、お互いの認識のズレを防げます。
6. ご自身で印刷会社に入稿される場合
当事務所でデザインしたデータを、お客様ご自身で印刷会社に入稿されるケースもあります。その場合も、注意点は同じです。特に折り込みなど大部数の印刷では、印刷後の修正ができないため、必ず納期に余裕を持ち、印刷前にカンプや確認用PDFを出してもらって、内容を確認してから印刷に進めてください。
もし「どう確認すればいいか分からない」「印刷会社に何を聞けばいいか分からない」という場合は、遠慮なくご相談ください。確認すべきポイントをお伝えしたり、必要であればこちらから印刷会社に確認することもできます。
ネット印刷という選択肢について(経験上の話)
「ネット印刷はどうなの?」と聞かれることがあるので、経験上の話を書いておきます。
最近のネット印刷は、入稿前にプレビューが表示されるところが多いです。データをアップロードすると、その場で仕上がりのイメージを確認できる。これは、画像の抜けや配置のミスに気づける仕組みとして、とても優秀です。
ただし、100%ではありません。私も一度だけ、プレビューでは正しく表示されていたのに、手違いでエラーになったことがあります。プレビューを過信せず、あくまで確認手段のひとつと考えてください。
そして、ここが大事な点です。経験上、ネット印刷の多くは、そうした事故のときに全額負担で刷り直しをしてくれました。 リカバリーの体制が整っている、ということです。
このとき役に立ったのが、入稿前のプレビューのスクリーンショットでした。「こちらのプレビューでは、この状態で正常に表示されていました」と示せたことで、話がスムーズに進みました。ネット印刷を使うときは、プレビュー画面のスクショを必ず残しておくことをおすすめします。交渉材料になります。
一方で、地域密着型の印刷会社の中には、古い体制のまま、リカバリーの仕組みが整っていないところもあります。事故が起きても「すべてデザイナーのせい」「うちは忙しくて、そこまで見ていられない」という対応で終わってしまう。こういう会社は、正直、怖くて使えません。
私の体感としては、こういう順番です。
必ずカンプで確認できる地域密着型の印刷会社 > ネット印刷 > >>>>>>>>>古い体制の地域密着型の印刷会社
いちばん安心なのは、地元で顔が見えて、なおかつカンプ確認の工程をきちんと入れてくれる会社です。次にネット印刷。プレビューがあり、万一のときのリカバリー体制もあるからです。そして、確認もリカバリーもない会社は、地元であっても選択肢に入りません。
「地元だから安心」「ネットだから不安」ではなく、確認の工程と、万一のときの対応があるかどうかで見るのが大事だと感じています。
印刷会社を選ぶときの基準
最後に、印刷会社選びについて。付き合いの長さや、価格の安さだけで選ばないことをおすすめします。
入稿規定が明確か。PDFの扱いがはっきりしているか。カンプ確認ができるか。大部数・高額案件で、確認の工程を入れられるか。外注に回すときの確認体制があるか。色の違いについて事前に説明があるか。そして、万一のトラブルのときに、「うちのやり方はこうだから」「デザイナーのせい、クライアントのせい」で終わらせず、安全に進める方法を一緒に考えてくれるか。
大事なのは、安さや付き合いではなく、取り返しのつかない印刷事故を防げる体制があるかどうかです。

飯田市でホームページ制作・広告運用をサポート|デザインスタジオiR
牧内理恵
まきうちりえ
飯田市在住、広告制作歴20年以上。これまで200名以上のクライアント様と向き合い、100件以上のサイト制作を手掛けてきたデザイナー兼エンジニアの牧内理恵です。御社の強みを引き出し、業績アップに繋がるWebサイト・ネットショップ・販促ツールをご提案します。拠点とする長野県内はもちろん、全国各地からのご依頼にも柔軟に対応しております。
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長野県飯田市を拠点に、ホームページ制作やECサイト構築、Web運用のトラブル解決を承っています。20年以上のキャリアで培った「伝わるデザイン」と「確かな技術」で、御社の業績アップを支えます。飯田・下伊那エリアはもちろん、全国からのオンライン相談も大歓迎です。
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